亡くなられた方の、預貯金、不動産、動産、株式など全ての財産を合計し、
基礎控除額を超える場合には相続税の申告、納税が必要となります。
葬儀費用などは控除されますが、相続発生から3年以内に贈与などは含まれてしまいます。
相続税基礎控除とは
相続税基礎控除とは、相続税を計算するうえで課税の対象となる金額から差し引いてもらえる金額をいいます。
つまり、相続税基礎控除が大きければ大きいほど相続税の対象となる金額が減り、相続税の額も減るということです。
基礎控除額は次のように計算します。
相続税基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
人数ごとに表にすると以下のようになります。
相続税法の改正により相続税基礎控除は、平成27年1月1日以降に発生した相続から減額されています。
改正前の相続税基礎控除額は、
5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)
で計算されていました。
従来の基礎控除額の計算であれば、法定相続人の数が2人であれば相続税基礎控除額は7,000万円、
法定相続人の数が3人であれば相続税基礎控除額は8,000万円です。
これを現在の相続税基礎控除額と比べてみると、基礎控除額が大きく減ってしまっていることがわかるのではないでしょうか。
この改正により、もともと相続税がかかっていた人にとっても増税となったほか、新たに相続税の対象となる人も増加しました。
相続税の課税対象者は、相続税基礎控除額の改正前は亡くなった方のうち4%程度でしたが、改正後は8%程度となっています。
改正前の感覚で「うちにはそれほど財産はないから相続税はかからない」と考えていても、改正後の相続税基礎控除額では課税対象となる場合もありますので、確認しておく事をお薦めします。
法定相続人とは
法定相続人とは、法律(民法)で定められた相続人のことです。
民法では、相続人として、配偶者のほか第一順位から第三順位までが定められています。
第一順位の相続人が1人でも存在すれば、第二順位や第三順位の人は相続人とはなりません。
同様に、第一順位の人がいなくても第二順位の相続人が1人でも存在すれば、第三順位の人は相続人とはならないのです。
そして、配偶者がいれば配偶者は常に相続人となります。
例えば第一順位の相続人と配偶者がどちらも存在するのであれば、第一順位の相続人と配偶者が一緒に相続人となるということです。
第一順位から第三順位の相続人は、それぞれ次のとおりです。
第一順位
被相続人の子。被相続人により先に亡くなった子がいれば、その亡くなった子の子である被相続人の孫。
子も孫も被相続人より先に亡くなっていれば、その亡くなった孫の子である曾孫。
第二順位
被相続人の両親。両親がいずれも被相続人よりも先に亡くなっていて、祖父母のうち存命の人がいれば、その存命の祖父母。
第三順位
被相続人の兄弟姉妹。被相続人よりも先に亡くなった兄弟姉妹がいれば、その亡くなった兄弟姉妹の子である被相続人の甥姪。
なお、兄弟姉妹も甥姪も亡くなっている場合でも、甥姪の子は相続人にはならない。
相続税基礎控除額の計算には、この法定相続人の人数を使います。
ちなみに、養子にも実子と同じように法定相続人に含みますが、
基礎控除額の計算上含める養子の人数には制限があります。
・実子がいない場合➡2名まで
・実子がいる場合 ➡1名まで
この制限は、相続税を下げるために多くの養子を取るような過度な課税逃れを防ぐ目的で設けられています。
なお、ここで算入制限にかかる養子は、普通養子のみです。
実の両親が養育できない等の事情で幼いころに行う特別養子は、相続税基礎控除額の計算上も実子と同様に扱います。
相続税基礎控除の事例
父が亡くなり、母と2名の子が残されたという前提で、相続税基礎控除額を考えてみましょう。
この場合の相続税基礎控除額は、
4,800万円=(3,000万円+600万円×3名)です。
もしも母が先に亡くなっている場合は、
4,200万円=(3,000万円+600万円×2名)です。
この控除額は例えば、
・全て代表で1名が相続する
・お世話になった知人へ全て相続する
・1名が相続放棄をした
といった場合にも変動する事はありません。
ただし、上記の例で2名の子のうち1名が先に逝去しており、2名の孫が代襲相続する場合は
5,400万円=(3,000万円+600万円×4名)となります。
まとめ
相続税法の改正により、以前より対象となる方が増えています。
預貯金だけでなく、不動産なども含めて考える必要がありますので、
不安な方は税理士へ相談する事を考えておきましょう。