(息子さんのお葬式の際に、お母様より)
「息子が火葬場へ行くときは私は付いて行ってはダメですよね?」
逆縁の場合、親が火葬場に行ってはいけないという風習があります。
これは、子を失った親の心中を考慮して、親を苦しませないようにとの配慮から言われることです。
逆縁とは、親より先に子供が亡くなる場合のことを言います。
何事もなく人生を過ごせたのであれば、親が先に亡くなり、その後に子が亡くなるというのが一般的な順序となります。
しかし、順番が逆になるということで、「逆縁」と言う言い方をするのです。
悲しいことですが、子供が若くして病気や事故で命を落とした場合や、超高齢化社会となった現在、100歳近い親が子供を見送ることも珍しいことではなくなりました。しかし、親心としては、子供の最後を見送ってあげたいと思うのも当然でしょう。やはり親が傍にいて、見送ってあげたほうがいいのではないかと個人的にはそう思います。
子供が幼くても老齢であっても関係なく、 親にとって子供を亡くすことというのは想像に耐え難い辛さです。
だからといって、親の見えない場所でお別れを終えてしまうというのも心の奥底で子供の死を認めないままの状態になってしまい中々平常心に戻れなくなってしまう可能性もあります。
きちんと見送ることは、きちんとお別れをすることでもあります。
このような心理的側面を鑑みても、近年は親御さんも逆縁であろうと火葬場に同行することが多くなってきました。
しかし、これは一般的な傾向であり、全てに当てはまるわけではありません。
最も尊重されないといけないのは本人の意思なのですから。