近年、お葬式にあたって『香典辞退』という言葉を耳にします。故人様やご遺族へのお気持ちとして贈られるものですが、これを受け取らないというのが増えてきています。
⒈辞退する理由やメリットは?
現場で様々な声を聴きますが、理由として「お葬式のあとに名簿の整理をするのが大変!」というのが一番多いです。特にひと昔前のお葬式は100~200名、場合によってはもっとたくさんのご参列が当たり前の時代でしたので、確かに大変であったと思います。
他には、「誰もこの地域に住まなくなるし、付き合いが出来ない」「〇〇さんのお葬式でも辞退していたから」「本人が生前希望していた」というのが代表的な理由です。
葬儀後にはもちろん諸手続きや、法要の準備などやる事はたくさんあります。その内の一つが無くなるという意味では確かにご遺族の負担は軽減されると思います。
2.ではデメリットは?
「香典辞退」という言葉はだんだんと世間にも浸透してきており、「何それ?」と言われる事は殆ど無いと思われます。
ただし「辞退」という形をとっていても、実際にお通夜や告別式には香典を持参される方もたくさんいます。その中には受付で突き返される方、喪主様に直接交渉して渡そうとする方もいます。
「〇〇さんには生前お世話になっていたし、うちの家内が亡くなったときにも香典を頂いている。辞退と言われても困る。」など、やり取りの中でトラブルに発展したりする可能性があるという事は知っておいて欲しいです。
もう一つは、従来のお葬式の形態で行う場合、お参りに来て下さった方には粗供養品(※1)をお渡しします。これは通夜や告別式に足を運んでくれた事に対する御礼となります。細かい話ですが、これも喪主様の負担となります。「香典辞退」だとしても粗供養品はお配りする事がほとんどですので、人数が増えれば増えるほど負担が大きくなります。
※1 地域によって名称は様々(例:茶の子、返礼品…など)
3.まとめ
上記の内容を踏まえた上で、各ご家庭の状況、お住まいの地域の風習と照らし合わせながら、「香典辞退」を本当にするのかどうかお考え頂ければと思います。
葬儀後のご遺族の負担を軽減する、という事に焦点を合わせればその日にお返しが出来る「即日返し」や、名簿作成を無料で手伝ってくれる業者へ依頼する、など解決策はたくさんあります。
そして『家族葬』が主体となってきた今日では、そもそもお返しが必要な件数が昔のようには多くならないはずです。故人様への想いや、ご遺族への労いの気持ちが籠もった大切なもの、それが「香典」です。決して辞退する事は悪い事ではありませんが、人の意見に流されたりで決めず、ご家族でしっかりと相談して結論を出しましょう。